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2007年2月 8日 (木)

鳥(2)

                 2

                  
  
     あの鳥は、何処に行ったのだろうか?・・・
    その不思議な夢は、私の心を遠い昔へと引き
    戻した。
     夢から醒めた私は、あの遠い日の出来事を、
    まるで、今朝の事の様に感じ、あの白い鳥の
    行方を思った。
     もちろん、あの鳥は、もうこの世に居ないに
    違い無かった。そして、あの日、私を慰めた母
    も、もうこの世の人ではなかった。だから、そ
    の夢の光景は、最早、この世に存在しない光景
    なのである。そんな鳥や母が、私の心の中に、
    あの様にありありと浮かんだ事に、私は、驚か
    されずには居られなかった。

     私には、その夢が、何かの知らせの様に思は
    れた。その朝、遠い世界から、私に送られた、
    何かの知らせの様に思われたのである。
 
     私は、窓を開け、その朝の空を見上げた。そ
    の日の空は、あの鳥が飛び去った日と同じ様に、
    青く、何処までも晴れ渡ってゐた。私は、その
    晴れた空を見上げながら、あの日、母が私に言
    った言葉を思い出した。--母は、あの日、私
    に、あの小鳥が、いつの日か私のもとに戻って
    来る、と言ったのである。--私は、母のその
    言葉を思い出し、母は、あの日、どうしてあん
    な事を言ったのだろうか?と思った。あの日、
    母は、ただ、私を慰めようとして、小鳥はいつ
    か戻って来ると、嘘(うそ)を言ったのだろう
    か?それとも、あの鳥は、今に、母の言葉通り、
    本当に、私のもとに戻って来るのだろうか?
     私は、春の空を見上げながら、あの小鳥が、
    戻って来る様な予感を感じた。

                         (続く)

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